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へりくつ工房はカードゲームを作ったり、 そうでもないものを作ったりしています

機動戦士ガンダム2次創作ゲーム「サクとサム」デザインノート

■この記事はなに?

皆様初めましての方は初めまして、お久しぶりの方はお久しぶりです。HLKT工房の天空 薙と申します。

この記事は「アブストラクトゲーム Advent Calendar 2022」7日目の記事です。

本記事では、ゲームマーケット2022秋に頒布したガンダム2次創作のアナログゲーム合作集「G4計画」に掲載いただいた、拙作「サクとサム」に関してのデザインノートのようなものになります。

ようなとしたのは、このブログを書いている天空が普段デザインノート的なものを書くわけでもないので、きっとこんな感じだろ!という感じでまとめたものなので皆様の期待しているものをお出しできるか不安でございますが、興味がありましたらお付き合いください。

■タイトルのサクとサムとは?

サク、サムとは機動戦士ガンダムのスピンオフ漫画である『トニーたけざきのガンダム漫画』に登場するモビルスーツ(ガンダムを知らない方向けに平易に説明するならロボット)です。

『トニーたけざきのガンダム漫画』とは、ガンダムエースで不定期に連載しているガンダムをテーマにしたギャグ漫画である。

アニヲタWiki(仮) (https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/3671.html)より抜粋

そのマンガの中に登場するのが、サクとサムです。(初回登場時の画像)

トニーたけざきのガンダム漫画p79より抜粋
トニーたけざきのガンダム漫画p82より抜粋

※こちらガンダムを知らない人向けに軽くネタを解説すると、アニメ機動戦士ガンダムの世界では、(宇宙コロニーにある)ジオン公国軍と地球連邦が戦争しているのですが、その両軍で量産されているロボットが「ザク」と「ジム」(下記画像参照)になります。

バンダイホビーサイト HG 1/144 ザクIIより
バンダイホビーサイト HGUC 1/144 RGM-79 ジムより

そのザクとジムをさらに簡略化した兵器ならば敵軍に対して数の有利を取れるだろう!ということを両軍考えこの手抜き簡易量産型兵器を作ったが…という話になります。

■そもそもなんで作ったの?

今回の合作の主催が「くらげシステム」さんなのですが、普段から懇意にさせていた縁もありつつ、G4計画の全体的なアートワークを担当されている「Studio Turbine」さんとガンダムの話をしたのがきっかけでお誘いいただきました。

■「サクとサム」はどんなゲームか?

今回作成した「サクとサム」では、ジオン軍側と連邦軍側に分かれてプレイする2人用アブストラクトゲームです。

双方は15枚のユニット(内1枚は特殊ユニット)を持ち、マップ上に配置されたユニット(1マスに最大3ユニット配置可能)を移動させて敵陣(薄い青と薄いピンクの部分)にユニットを置くことを目標とします。

また、原作では連邦軍(青側)基地をジオン軍が攻めているというシチュエーションなので、15ターン経過時にどちらも勝利条件を満たせない場合、ジオン軍の敗北ということになっています。

サクとサムの戦闘マップ
サクとサムユニット(種類と枚数)

■ゲームのユニークポイント

このゲームのルールとしてユニークな部分は、戦闘処理と移動方法の2つがあげられると思います。

①戦闘処理

基本的に戦闘処理に関しては、シミュレーションゲーム、ウォーゲーム感を出したかったのもあり、以下のようなルールにしました。

  • 敵軍のユニットにあるマスに自軍ユニットを移動させた場合、戦闘処理が発生
  • 戦闘力の差分が大きい軍のユニットがその差分だけ生存、残りは破壊(破壊されたユニットは時間経過で戻ってくる)
  • 戦闘力はそのマスおよび周囲6マスのユニットによって決定
  • 1ユニット1戦闘力だが、特殊ユニットのみ3戦闘力を持つ

これによって、結構ウォーゲームっぽい感じを出しつつ計算量を抑えられたかなと思います。

②移動方法

移動ルールですがこっちは若干複雑になってしまいましたが、マンカラっぽい動きをさせつつユニットがわちゃわちゃと押し出している感じをイメージしてルールに起こしました。

  • 1ターンに移動できるのは1マスに配置されている自分ユニットのみ(最大3ユニット)
  • 周囲6マスのいずれかに1マスにユニットを移動できる
  • 移動先に1ユニット以上配置できる場合、移動しているユニットから最低1ユニットを配置して、残りのユニットをさらに周囲6マスのいずれか移動させてもよい
  • 移動先が自軍ユニットのみで配置できない場合、移動しているユニット全てをさらに周囲6マスのいずれかに移動させてもよい
  • 移動先に敵軍ユニットがいる場合はそこに移動ユニットを配置して、戦闘となる(配置できない数のユニットは1マス前に戻る)
  • ふと枠になっているマスは2ユニットまでしか配置できない

■ルールデザインで苦労したところ

戦闘処理と移動ルールの基本は早い段階でできたのですが、ターン制限と戦闘処理の関係で連邦側が動かないほうが有利となってしまい、膠着状態が起こりやすくなってしまいました。

そのためにマップを細かく調整しました。

サクとサムの戦闘マップ

調整ポイントとしては、大きく以下の2つを行いました。

①連邦軍側の飛び地陣地の作成

②2ユニットしか配置できない通路の作成

①連邦軍側の飛び地陣地の作成

ここで言及しているのは、中央下にある青いマスなのですが、これの設置意図としてはゲーム序盤に連邦軍側のユニットを行動させる必要性を出すことにあります。

これがない状態ですと、初期配置から動かず、ジオン軍の動きに合わせて防御を厚くすれば勝ててしまいます。

それを解消するために飛び地を作成し、ジオン軍は序盤にこちらを落とそうする(連邦軍は守ろうとする)という動きになるようにマップの位置を調整しました。

これによって、序盤はジオン軍、連邦軍双方が飛び地にユニットを進める動きになったかと思います。

②2ユニットしか配置できない通路の作成

①で飛び地を作ったことにより、そこの攻防が序盤の動きになったのですが、第二の問題として、飛び地付近での膠着状態が発生しました。

本作の戦闘処理ルールですと、基本的にターンプレイヤー側が若干不利になる場合が多くテストプレイでは、損失を抑えるために戦闘を避ける傾向がありました。

そうなった場合、起こるのが陣地付近でのにらみ合いになります。ただ、これではゲームが硬直してしまって面白くありません。

そこで登場したのが、マップの中央にある2ユニットしか配置できないマスになります。

基本的にはジオン軍側がここに布陣することになるのですが、布陣したジオン軍側は狭い通路に2ユニットずつ配置することによって、1ターンでここの通路を行き来きできます。

基本的に飛び地の防御を盤石にするほど戦力を割いていると裏側から攻め込まれて、左上側に攻め込まれる。

逆にそっちに防御を厚くすると飛び地に攻め込まれるという状態になるようにしました。

また、ジオン軍側も深く左上に攻め込むと自軍の防御が薄くなるので、飛び地の防御をしている連邦軍の逆襲で先に陣地を占領される恐れもあります。

といったバランスになるように何回もテストプレイをしていったマップとなっております。

ここは自分的にもよい感じにできたかなという部分ではあるので、ぜひプレイしてみてください。

■宣伝

ということで、長々とお付き合いいただきましたが、アブストラクトっぽくないアブストラクトゲームを作成したので、ちょうどよいアドベントカレンダーがあり、デザインノート的なものを書かせていただきました。

ありがとうございます。

G4計画に関しましては、くらげシステムさんのBoothでも通販を予定しております。

また、12/30に行われるコミックマーケット101の1日目に出展するHLKT工房のブース(東s19b)にて委託頒布という形で頒布予定です!
また、同日同会場のStudio Turbineさんのブース(東s35b)でも同じく頒布予定です。

もし実物を見てみたいという方はお越しください!

なお次回の アブストラクトゲーム Advent Calendar 2022」は明後日9日、Kanare_Abstractさんの「禽将棋に登場する鳥について」だそうです!
お楽しみに!!